京都芸術大学(KUA)

【京都芸術大学】芸術教養入門・ことばと表現・論述基礎の感想と試験回答

京都芸術大学(通信過程)、芸術教養学科のいわゆる「入門編」的な3科目。
履修モデルでも「入学してすぐの学期」に3科目同時受講するプランになっています。

  • TR 芸術教養入門
  • TR ことばと表現
  • TR 論述基礎

いずれも、レポート課題提出→合格者のみ単位修得試験を受験。
という流れ。

レポートは壊滅的だったり地元について書いてたりで公開が難しいので、今回は「単位修得試験の回答」を評価と一緒に全文公開します。

芸教生
芸教生
全体的に総合AかBで平凡な成績ですが…なにかしら参考になれば幸いです。

※問題文は大学の規約上非公開。各自シラバスをご参照ください。
※年度が変わると問題変更の可能性あり
※数種からのランダム出題です


芸術教養入門

芸術教養学科での大学生活全般を丁寧に解説してもらえる科目。
ガイダンス気分で動画視聴して、ついでに1単位もらえる、くらいの感覚で受講できました。

【評価】
総合成績:A 88点
レポート課題:A 80点
単位修得試験:S 95点

芸術教養入門 試験回答全文

当レポートは、芸術教養学科における学科専門教育科目についてまとめたものである。まず、学科専門教育科目とは次の18科目で構成されている。芸術教養入門、芸術教養講義1~10、芸術教養研究1~4、芸術教養演習1~2、卒業研究である。卒業時に「近代的市民社会のなかで、東アジアの文化的伝統とその芸術的洗練をもって、自己と環境のありかたの新しい形を構想できる力を持った人材となる(註)」ことを目標とした科目群だ。その目標に到達するため、大学からカリキュラムマップが配布されており、そのステップに沿って学習を進めることが望ましい。ステップ毎に、構成と特徴を述べていく。
まず、入門編として「TR芸術教養入門」がある。芸術教養学科における学習の進め方や、大学生活について動画で学ぶことができる。入門編を終えた後は、3つのステップに分けて、学習を進めていく。
ステップ1は、「WS芸術教養講義1~10」の計10科目だ。デザイン思考と、文化・伝統を体系的に学ぶことができる科目群である。1と6が概説にあたるため、最初に受講するとスムーズだ。以降も同様に2と7、3と8、4と9、5と10がテーマ毎に対に構成されている。
ステップ2は、現代での活動を学ぶ「TR芸術教養研究1~4」の計4科目だ。ウェブマガジン「アネモメトリ」に掲載された事例をもとに、調査・研究を行う。
ステップ3ではまず「TX芸術教養演習1~2」の2科目を学ぶ。先の「TR芸術教養研究1~4」と似た形式で、指定されるジャンルにおいて自らフィールドワークを行い、学びを深める科目である。発表の機会が設けられることもこの科目の特徴だ。
そして最後に、卒業するための必修科目である「TX卒業研究」だ。これまでに培った文化芸術へのさまざまな視点から調査研究を行い、地域の「文化資産評価報告書」を作成する。提出後には、専用のウェブサイトで報告書を公開することができる。

[註]airU学習ガイド、カリキュラムマップ(芸教専門)、2022年6月5日閲覧。
https://guide.air-u.kyoto-art.ac.jp/wp-content/uploads/2016/03/2018_curriculum-map.jpg


ことばと表現

レポートの書き方入門編、の科目。
テキストもページ数少なめで読みやすく、わかりやすいです。

説明会で「レポートなんて書いたことなくて…大丈夫でしょうか?」「書き方の基礎から学べるので大丈夫です!」という受け答えがありがち。
基礎から学べる=この科目を真面目に受講すれば基礎が身につく、ということです。
けして「手取り足取り親切に教えるので大丈夫ですよ」ということではないですw

論述・論文を書き慣れた人は別に受講しなくても良いかも。
(特に3年次編入だと、卒業の為には総合教育科⽬の必要単位は2だけなので、TR論述基礎だけで足ります。1年次入学なら気にしなくてOKです)

手慣らしに受けても良いかもしれませんね。

【評価】
総合成績:A 84点
レポート課題:A 88点
単位修得試験:A 80点

単位修得試験では、私は興味関心のあることについて書きました。

なんだかニッチな内容で恐縮ですが…
この時ちょうど芸術史講義アジアも同時並行で受講してたので、頭がアジアンでした。

私が選んだテーマが中国小説だっただけなので、中国芸術について述べよみたいな出題はないのでご安心くださいね!

ことばと表現 試験回答全文

唐代伝奇『遊仙窟』が佚存書となった理由

中国唐代の伝奇小説について学び、なかでも張鷟(660?~741?)の『遊仙窟』が佚存書となった理由に興味を持った。中国で生まれたものの早くに失われ、日本で広まり、後に逆輸入された小説である。当時の中国で支持されなかったのはなぜか、このレポートで論じる。
要因として、今回は内容・質・形式の三点を挙げる。まず、内容については、神仙や幽霊と人間の恋愛物語は同時代の他作品にも多く見られる。受け入れられずらいテーマではない。質は、日本で広まり、後の中国でも評価されていることから、著しく程度の低い作品とはいえない。
最後に形式について、私は『遊仙窟』がなにかしらの部分で、当時広まりにくい形式であったのではないかと考えた。しかし言語は特殊なものではないし、長さも特出するものではない。それでは他にどのような要因があるのか。中里見は「中国文学における物語行為の諸相-賦と自伝の場合-」で次のように述べている。

唐の伝奇小説で,「余」を用いた等質物語世界の形式のものは,『遊仙窟』および牛僧濡の作として伝えられる「周秦行紀」ぐらいしかない。『遊仙窟』は中国では早くに失われ,日本で発見されたものである。このように,等質物語世界のテクストが伝承の過程でも困難を経験したことは,その形式が「史伝」のスタイルとして認知されていなかったことを意味するように思う。[註]

要するに、一人称代名詞は史伝では認知されず、伝奇でも極めて小数派であり、伝承の過程で支障があった、ということだ。私もこの考察を支持したい。馴染みのない形式により、まず語り手たちに支持されなかったのだ。最終的に張鷟によって編まれはしたが、読み手にも支持されず、結果、佚存書となったのである。

[註]中里見「中国文学における物語行為の諸相-賦と自伝の場合-」山形大学紀要(人文科学)、平成8年1月、PDF19~20ページ(2022年6月4日閲覧)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/6463/naka18.pdf


論述基礎

レポートの書き方中級編?上級編?の科目。

手こずる人が多め(Twitterを見ている限りの体感)の論述基礎。
「不合格でもまた次期に再提出すればいいし、初年度中に合格できればいいや」って気持ちでレポート提出しました。

5月下旬にオンラインで「論述基礎攻略法」という解説会がありました。
(ただそれを待つと春期の締切に間に合わないので、私は過去のアーカイブを参考にしました。これ↓)

Facebook-論述基礎攻略法

※年度が変わると課題内容にも変更が入る=攻略法も変わる可能性があるので、ご注意ください!

【評価】
総合成績:B 73点
レポート課題:C 65点
単位修得試験:A 80点

レポートがギリギリでの合格で、
春は単位修得試験受けるのやめようかなと考えてました…。
が、ダメ元で受けたらどうにか総合評価Bにすべりこめました。

論述基礎 試験回答全文

レポート・論文における参考文献の存在について

世界中のさまざまなレポート・論文において、必ずといっても良いほど参考文献の存在がある。参考文献を使用せずとも、レポート・論文は成り立つのか。本稿では考察していきたい。
まず、一般的に参考文献を用いる理由には次の2点があげられる。1点目は文字通り文献を「参考」にし、論じるテーマや、問いを探すものだ。漠然とした段階でも、ある程度ジャンルが絞られた状態でより深掘りし、問いを立てる際にも、どのような段階でも有用といえる。2点目は、自らが論述するために必要な情報を求めて、文献を調査することである。
1点目については、先んじて自ら強く希望するテーマや問いに辿りつけば、参考文献はなくとも成り立つかもしれない。ただし、先人が同様のテーマで論述・研究していないかどうかを確認することは、頭の中だけでは不可能である。先行研究にあたる文献を最低限概要だけでも調査する必要がある。また論じるにあたり根拠や情報が必要になれば、次の目的で参考文献を活用せざるをえない。2点目の「必要な情報を求めて、文献を調査する」過程である。1点目同様、頭の中だけでは不可能だ。求めるものが史実なのか、実験結果なのか、先人の考察なのか、文学作品なのか、はたまた別のなにかか、いずれにしても参考文献を調査し、時には正しく引用する必要があるだろう。調査を怠り根拠や情報が不明確なまま論じたとすれば、そのレポート・論文の存在そのものが不明確で、信用に値しないものとなってしまうのだ。
以上のことから、レポート・論文において参考文献は欠かせないものといえる。ただし例外として、求める情報を口伝により直接調査・入手した場合には、参考文献がなくともレポート・論文として成り立つ可能性がある。

参考文献
篠原学著、大辻都編『アートとしての論述入門』 京都芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎、2017年。

入門系TR3科目を終えて


入学するまでレポート・論文の類はまっったく書いたことがなく、現役学生時代は読書感想文も大の苦手でした。(義務教育中でさえ提出自体を諦めてたくらい…)

それでもどうにか安定してAは取れるようにはなったので、特に「ことばと表現」は初心者に向けて丁寧に作られた科目なんだろうなと思いました。

今回は試験回答全文でしたが、WS科目ではレポートを全文公開しています。
ちょっと人がどんなの書いてるか見たいな~って人はもしよければ!

【芸術史講義アジア】感想・レポート全文・参考文献京都芸術大学(KUA)の芸術史講義アジアを受講中です。 この記事では、受講した感想やおすすめの参考文献、レポートの注意点などをご紹介し...